適切な根管治療とは? 熊谷市桶川市鴻巣市坂詰歯科|歯を抜く、神経を抜くと言われお悩みの方へ|根管治療・歯髄保存ガイド

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適切な根管治療とは? 熊谷市桶川市鴻巣市坂詰歯科

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適切な根管治療とは?

「適切な根管治療とは、どのような治療ですか?」

患者さんから聞かれることがあります。

いきなり結論からお話しすると、私は、

すべての患者さんに共通する「絶対的に正しい根管治療」はない

と考えています。

もちろん、医学的に守るべき基本原則や安全性への配慮はあります。

しかし、どこまで時間や費用をかけて歯を残したいのか、どの程度の成功率を期待するのか、治らなかった場合にどこまで次の治療を希望するのか。

患者さんによって希望する「ゴール」は違うからです。

「根管治療のゴールは患者さんが決める」

この考えを理解するうえで、私が大きな影響を受けたのが、トロント大学で長年歯内療法の研究・教育に携わってきたShimon Friedman先生の考え方です。

私自身、Friedman先生のお話を直接伺う機会がありました。

その中でも特に印象に残っている考え方が、

「根管治療のゴールを決めるのは、歯科医師ではなく患者さんである」

というものです。

歯科医師が一方的に「この治療が一番です」と決めるのではありません。

歯科医師の仕事は、それぞれの選択肢について、期待できること、限界、リスク、費用などを説明すること。

そして、その情報をもとに、

最終的にどの治療を選択するのかを決めるのは患者さんです。

私はこれが、根管治療を考えるうえで非常に重要だと思っています。

根管治療の結果は、すべて同じではありません

根管治療は、「やれば必ず治る治療」ではありません。

症例の難易度、治療前の歯の状態、根尖病変の有無、歯の形態、術者、治療環境、そして治療後の修復など、さまざまな条件が予後に関係します。

Friedman先生らによる有名な「トロントスタディ」でも、初回根管治療の治癒率は一律ではありません。

たとえばPhase 1では、全体で81%、術前に根尖性歯周炎が認められなかった歯では92%、認められた歯では74%でした。

つまり、「根管治療の成功率は○%です」と一つの数字だけで説明すること自体が、本来は難しいのです。

保険診療と自由診療――大切なのは違いを理解して選ぶこと

日本では、保険診療による根管治療と自由診療による根管治療という選択肢があります。

保険診療の大きな特徴の一つは、患者さんの窓口負担を抑えながら治療を受けられることです。

一方、自由診療では、診療時間、使用する器材・材料、治療方法などについて、保険診療とは異なる診療体制を選択できる場合があります。

ただし、

「自由診療だから必ず治る」
「マイクロスコープを使えば必ず成功する」

ということではありません。

自由診療であっても治癒しないことはありますし、最終的に抜歯となる可能性もあります。

反対に、保険診療でも良好な経過をたどる歯は当然あります。

重要なのは、「保険か自由診療か」という名称だけで治療の良し悪しを判断するのではなく、自分の歯の状態に対して、誰が、どのような診査・診断を行い、どのような環境で治療するのかを理解することだと思います。

海外の研究から分かること

トロント大学の研究では、専門的な教育環境のもとで行われた初回根管治療について、比較的高い治癒率が報告されています。

たとえばトロントスタディPhase 1では、4~6年後の治癒率は全体で81%、根尖性歯周炎のない歯で92%、ある歯で74%でした。

Phase 1・2を合わせた解析でも全体の治癒率は85%で、根尖性歯周炎なし93%、あり79%でした。

これらはカナダの大学病院における研究であり、その数字をそのまま日本のすべての歯科医院や患者さんに当てはめることはできません。

しかし、治療前の状態や治療条件によって結果が大きく異なることを理解するうえでは、非常に重要な研究だと思います。

「治療費」ではなく「その歯に今後どれだけ治療が必要になるか」まで考える

ここでもう一つ考えていただきたいのが、長期的な治療費です。

保険診療は、治療時の患者さんの負担を抑えられるという非常に大きなメリットがあります。

一方で、自由診療は初期費用が大きくなる場合があります。

だからといって、

「安い治療だから得」
「高い治療だから得」

と単純には決められません。

根管治療後に長期間その歯を使用できれば、その後の再治療、抜歯、ブリッジ、義歯、インプラントなどの治療を先送りできる可能性があります。

反対に、どのような治療を選択しても、再治療や抜歯が必要となり、結果として追加の費用が必要になる可能性があります。

だから私は、根管治療の費用を考えるときには、

「今日いくら払うのか」だけではなく、「この歯を今後10年、20年と使っていくために、どのような治療を選択するのか」

という視点も大切だと考えています。

マイクロスコープがあるだけでは決まりません

そして、もう一つ大切なのが、

「何を使って治療するか」だけではなく、「誰が治療するのか」

という視点です。

マイクロスコープ、CBCT、ラバーダム、NiTiファイルなどは、現代の根管治療において重要な器材・環境となり得ます。

しかし、高性能な設備が置いてあることと、治療結果が保証されることは同じではありません。

設備だけでなく、術者の知識、経験、専門的な研修歴や資格、診査・診断、症例選択、そして治らなかった場合の対応まで含めて考える必要があります。

したがって、より専門的な根管治療を希望するのであれば、

「どの歯科医院に行くか」だけではなく、「実際に誰が自分の歯を診断し、治療するのか」

を確認することも一つの方法だと思います。

あなたが望む根管治療のゴールは何でしょうか?

費用をできるだけ抑えて治療したい。

できるだけ少ない通院回数で治療したい。

費用がかかっても、可能な範囲で専門的な治療を受けて歯の保存を目指したい。

治療の成功が期待しにくいのであれば、無理に根管治療をせず、抜歯を含めた別の方法を検討したい。

どれも患者さん自身の価値観による選択です。

だからこそ私は、

「これだけが正しい根管治療です」

と患者さんに押しつけることは適切ではないと思っています。

歯科医師が、それぞれの治療方法についてメリットだけではなく、成功しない可能性、偶発症、治療期間、費用、そして治らなかった場合の「次の一手」まで説明する。

患者さんはその情報を理解したうえで、自分が納得できる治療を選択する。

それが重要なのではないでしょうか。

適切な根管治療とは「自分で納得して選択できる根管治療」

根管治療のゴールは、歯科医師だけが決めるものではありません。

私たち歯科医師ができることは、患者さんの歯の状態をできるだけ正確に診査し、考えられる選択肢と、それぞれのメリット・デメリット、予後、費用について説明することです。

そして最後に選択するのは患者さんです。

適切な根管治療とは、最も高額な治療でも、最も新しい治療でもありません。

十分な情報を得たうえで、

「私はこの治療を選びたい」

と患者さん自身が納得して決められること。

私は、それが根管治療における一つの大切な「適切さ」だと考えています

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