根管治療後、どれくらい歯を持たせたいですか? 熊谷市桶川市坂詰歯科
- 根管治療
根管治療後、どれくらい歯を持たせたいですか?
根管治療を受けるとき、多くの患者さんが気にされるのは、
「痛みが取れるのか」
「何回で終わるのか」
「治療費はいくらなのか」
ということだと思います。
もちろん、どれも大切です。
しかし、もう一つ考えていただきたいことがあります。
「この歯を、この先どれくらい長く使いたいのか?」
ということです。
根管治療は、治療が終わった日がゴールではありません。
その後に土台や被せ物を行い、再び噛める状態に戻し、その歯を長期的に使っていくための一連の治療の一部分です。
「治療計画を決めるのは患者さん」という考え方
トロント大学の歯内療法学を長年牽引してきたシモン・フリードマン教授は、治療における意思決定について、歯科医師だけで治療のゴールを決めるのではなく、患者さん自身の希望や価値観を踏まえて治療方針を決めることの重要性を示しています。
これは、患者さんが専門的な知識なしに治療方法を決める、という意味ではありません。
歯科医師には、
「この歯はどのような状態なのか」
「どのような治療方法があるのか」
「それぞれの成功率や限界はどうなのか」
「どのようなリスクがあるのか」
「治らなかった場合、次にどのような選択肢があるのか」
「費用や治療期間はどの程度なのか」
といった専門的な情報を、できる限り分かりやすく説明する役割があります。
その情報を理解したうえで、
「自分はこの歯をどこまで残したいのか」
「そのために、どこまでの治療を希望するのか」
最終的な治療のゴールを決めるのは、患者さん自身です。
当院でも、この考え方を大切にしています。
歯の長期予後は「根管治療だけ」では決まりません
根管治療をした歯が、その後どれくらい長く使えるか。
非常にシンプルに表現すると、当院では次のように考えています。
歯科医師・歯科医院の選択
×
根管治療の選択
×
被せ物・修復方法の選択
=
その歯の長期予後
もちろん、実際の予後はこれほど単純ではありません。
もともとの虫歯の大きさ、残存歯質、歯周病、歯根破折の有無、噛み合わせ、清掃状態、治療後のメインテナンスなど、多くの因子が関係します。
したがって、どの治療を選択しても「○年間必ず持つ」と保証することはできません。
しかし、この掛け算の中には、患者さん自身が治療前に選択できる重要な項目があります。
① 根管治療をどうするか
同じ「根管治療」という名称でも、その内容は一つではありません。
診査・診断にどれくらい時間をかけるのか。
CTをどのように診断に利用するのか。
マイクロスコープを使用するのか。
ラバーダム防湿を行うのか。
どこまで感染源を確認し、清掃・洗浄・根管充填を行うのか。
そして、何回程度、どのくらいの期間で治療する計画なのか。
設備だけでなく、歯の状態、術者の経験や技術、診断、治療計画など、さまざまな要素が関係します。
だからこそ、
「根管治療を受けるかどうか」だけではなく、
「どのような根管治療を選択するのか」
という視点も重要になります。
② 根管治療後の「被せ物」をどうするか
根管治療が終了すれば、それですべて終わりではありません。
根管治療後の歯は、その後に土台や被せ物などによって修復されることが多くあります。
長期的に歯を使用することを考えるのであれば、この最終修復も重要です。
どのような方法で修復するのか。
残っている歯質をどのように守るのか。
いつ最終的な修復を行うのか。
根管治療だけを見るのではなく、
「根の治療から被せ物までを一つの治療として考える」
ことが大切だと当院では考えています。
③ 「誰に治療してもらうか」をどうするか
そして、もう一つ患者さんが選択できるのが、歯科医師・歯科医院です。
これは単純に、
「有名な先生なら大丈夫」
「マイクロスコープがあれば大丈夫」
という意味ではありません。
治療前に診断と予後について説明してくれるか。
メリットだけでなく、治療の限界やリスクについても説明してくれるか。
治療回数や期間の目安を説明してくれるか。
治らなかった場合の次の選択肢まで説明してくれるか。
そして、根管治療だけでなく、その後の修復まで考えて治療計画を立ててくれるか。
こうした点も、歯科医院を選択するときの一つの判断材料になると思います。
あなたは、この歯をどれくらい持たせたいですか?
根管治療後の歯の生存については、長期間にわたり機能していることを示した研究報告があります。
一方で、すべての歯が同じ経過をたどるわけではありません。
歯根破折、重度の歯周病、大きな歯質欠損などがあれば、根管治療そのものが適応にならない場合もあります。
だからこそ大切なのは、
「何年持ちますか?」と聞くだけではなく、
「自分はこの歯を、どれくらい長く使いたいのか?」
を考えることです。
もし、
「可能な範囲で、10年、その先までこの歯を使っていきたい」
と考えるのであれば、一つの指標として、
どの根管治療を選択するか。
どの被せ物・修復方法を選択するか。
どの歯科医師・歯科医院を選択するか。
について、治療を始める前に考えてみてもよいと思います。
最後に決めるのは患者さんです
歯科医師は、医学的に考えられる治療方法を提示し、それぞれのメリット、デメリット、リスク、費用、治療期間、予後などを説明します。
しかし、患者さんによって大切にしたいものは違います。
費用を抑えたい方。
通院回数を少なくしたい方。
まずは必要最小限の治療を希望する方。
費用がかかっても、できる範囲で長期的な予後を重視したい方。
どれか一つだけが、すべての患者さんにとっての「正解」ではありません。
だからこそ、フリードマン教授が示す考え方のように、
治療のゴールを歯科医師だけで決めるのではなく、患者さん自身の希望や価値観を踏まえて決めていく。
そのために歯科医師が専門的な情報を提供する。
これが、当院が大切にしている治療計画の考え方です。
あなたは、根管治療をしたその歯を、これからどれくらい長く使いたいですか?
その答えによって、選択する治療計画も変わってくるかもしれません









