セミナー開催!熊谷市鴻巣市マイクロスコープ根管治療 坂詰歯科医院 日本顕微鏡学会認定医在中
- 根管治療
令和5年2月26日、神田にて歯科医師向けに公開セミナーを行いました。
明日からエンドが楽しくなるエッセンスと題しまして、
東京小岩で開業されている笠原先生と講演をおこないました。
非常に多くの先生にお集まりいただき当日は熱い熱気につつまれたかと思います。
なぜ、このような講演が行われた背景をお話させていただきます。
現在日本の根管治療の成功率は高いとは言えません。
海外に比べると非常に根管治療の成功率は低いのではないでしょうか。
(2011年須田)で調べると、日本の根管治療の成功率が出ています。
一度しらべてみるのもよいかもしれません。
そして、当然ながら我々歯科医師は、根管治療の成功率を高くして患者さんに提供したいわけです。
しかし、多くの先生方が上手くいきませんさまざま原因があると思うのですが。
原因は
①マイクロスコープを所有していない
②マイクロスコープを所有しているが上手く使うことができない
③マイクロスコープを使用した根管治療の知識がない
④根管治療は保険診療で質の高い治療を提供できると歯科医師自身が思っている
⑤根管治療はそもそも困難であるという治療を患者さんに理解してもらっていない。
⑥根管治療は回数がかかるものと先生方が思い、それにあった治療システムにしてしまっている
⑦再根管治療は本当は非常に難易度がたかいということを認識していない
⑧マイクロスコープ治療の資格がないもしくは資格所有をめざしていない。
⑨根管治療における設備の投資を継続していない
①について
現在日本において徐々にマイクロスコープの普及率はあがっております。全歯科医院の5%は越えてきているかと思います。私は以前はマイクロスコープを使わずに根管治療を行っていました。上手くいくときもあれば、上手くいかない時もあります。奥歯に関していうと治らない時も多かった記憶があります。根管治療の基本は歯の内部の神経の残骸や、汚れをとる治療です。しかし、、マイクロスコープを使っていない時は、なかなかうまくいかないこともありました。その時は、まー、しょうがないのかなと、思い、原因はいまいちわかっておりませんでした。しかし、マイクロスコープを実際にしようしてみると、根管内の形は想像以上に複雑でした。いままでの敵をわかっていなかったのです。実際は非常に強い敵と戦っていたのだなと思いました。つまり、もし患者さんがしっかり、根管治療を行ってくださいと要望があった際は、マイクロスコープを使用しなければ、要望にはおこたえできません。また、研究論文においてもマイクロスコープを使用したほうが根管治療の成功率は明らかにあがります。まれにですが、マイクロスコープを使用しなくても全部の歯を治せると主張されている先生がいらっしゃいますが、それは科学的に間違えな回答です。やはり、しっかりとした根管治療にはマイクロスコープは必須だと思ってください。しかし、マイクロスコープも車と同じくピンキリです。マイクロスコープも見えずらいものもあれば、正確にみえるものもあります。マイクロスコープの種類はホームページに出ていることが多いのでしらべてみるのも良いかと思います。一般的にランクの高いマイクロスコープを所有されている先生は実力が高いとされています。
参考までにマイクロスコープをの種類をご紹介します。
SSランク カールツァイスプロエルゴ エルタニス
Sランク アレグラ
Aランク カールツァイスエクスタロー ブライトビジョン3200 カールツァイスピコモーラ
Bランク ライカシリーズ グローバル
Cランク フレキシオン ブライトビジョン5000
Dランク プリマシリーズ
ランク外 ネクストビジョン
上記に書きましたのは、歯科医師の中では割とメジャーなメーカーです。
当院では、カールツァイスプロエルゴ、カールツァイスエクスタロー、ブライトビジョン3200、
カールツァイスピコモーラ、ネクストビジョンを所有しております。
②について、
マイクロスコープを所有しているが上達しないという問題について書きます。
以前も私もマイクロスコープ治療が上手くない時期もありました。
上達できるには様々条件を整えなければなりません。非常に難しいことなのです。
勉強すれば上達するというものでもないのです。
現在の問題点として、マイクロスコープを所有しているが、マイクロスコープを上手く使える歯科医師が非常に不足していることだと思います。当院にいらっしゃる患者さんでよく聞くことがあります。前医で根管治療をした。ホームページにマイクロスコープがあると記載されていたが、実際は使わなくても大丈夫と言われた。マイクロスコープを使用したが治らない。など、様々伺います。根底の問題として、A歯科医師側がマイクロスコープを使用すれば保険診療で治せるとおもってしまう誤解。B患者さんも保険のマイクロスコープ治療で治るだろうという誤解。Cマイクロスコープを使用すれば治るだろうという双方の誤解 があります。マイクロスコープはあくまで歯の内部を覗きこめるだけです。根管治療の目的はあくまで、根管の中の汚れをとることです。マイクロスコープで汚れが見えても、取れなければ意味がありません。汚れをとるさらなる設備と技術が大切なのです。
③マイクロスコープ治療の知識がない
昔の治療は手先で治療を行っておりました。大学教育でも手先の根管治療の教育しか受けておりません。マイクロスコープ治療の学問は手先の根管治療の知識とはまた別の知識が必要です。私は、2016年にUCLAマイクロエンド卒後研修プログラムを終了。2017年にPERF-JAPANマイクロエンドコース修了。2023年にはトロント大学プログラムを修了しました。今はマイクロスコープを使用した根管治療は様々な状況で勉強できるようにはなりましたが、まだまだハードルは高いと思われます。私は、2017年ごろから、マイクロスコープを使用した根管治療に関しては講演活動を行っており、他の先生たちの実力を上げるような活動を行っております。マイクロスコープを使用しないで根管治療を行う派閥もありますが、難易度の高い症例には対応できないのではないかと思っております。
④根管治療は保険診療で質の高い治療を提供できると歯科医師自身が思っている
以前の私もこのように思っておりました。これが正義だと信じていました。しかし、この考えが自身の実力向上を妨げる原因になります。そして、何より患者さんの歯を治せる確率が減ります。
なぜ、このように思うのか理由は二つあります。
A,根管治療を行った後、被せ物をするが、そこまでが根管治療であるというとを知らなかった。
たとえ、根管治療が上手くいったとしても、そのあとに行う被せ物の質が悪いと、根管治療した歯の生存率がさがるのはご存じでしょうか?実はこれ昨今、非常に有名な研究結果なのです。一般的に、保険診療の被せ物は、銀歯やCADCAM冠(白い)です。しかし、保険の銀歯はさびやすいく、虫歯になりやすいです。隙間から細菌が侵入すると、根の先に膿が出来やすくなります。また、CADCAM冠は白くてきれいなのですが、外れやすく壊れやすいです。まず、銀歯に関して説明すると、まず大前提として精密には作製できません。これを理解してください。銀歯は歯科技工士さんが作製します。歯科技工士さんにお支払いする銀歯作製費用は実はかなり安いのです。保険診療は定額で決められています。その中でやりくりします。現状一般的に、コストを削られるのは技工士さんへの支払いです。いま、歯科技工士さんの数が減っているということを聞いたことがありますか?歯科技工士さんの労働環境は非常に過酷です。1つ1つオーダーメイドの詰め物を作製していただいていただいているのに、技工士さんの報酬は雀の涙ほど。ありえない金額です。そのような状況で、保険診療の銀歯において精密な被せ物ができるわけありません。精密な銀歯もこちらから依頼できるわけがありません。ここらへんも、患者さんも理解していただきたいのです。患者さんが仮に銀歯を保険で精密になおしてくださいと言われた場合、苦しむのは歯科技工士業界なのです。もっともっと、歯科技工士さんが苦しんでしまったら、歯科技工士は減ってしまいます。そうなったとき一番困るのは患者さんです。ですから、当院ではマイクロスコープを使った精密な根管治療を行った際は、その後は成功率を高めるため精密な被せ物を作製します。歯科技工士さんには精密に作製するよう依頼をかけています。その代わり、十分な報酬も歯科技工士さんに渡しています。さらにやる気をだしてもらって、さらに良い被せ物を作ってもらいます。その循環が大切です。なので、安い費用で根管治療の成功率を上げるのは不可能なのです。患者さんもどうかこういったことを理解して頂ければ幸いです。歯科業界にて、早い、便利、安いが良い歯科医院という考えが浸透してしまうと、歯科業界、歯科技工士業界はつぶれてしまいます。やはり、良い治療を行うには、予約は待っていただく、すぐに予約はとれない、全てが保険診療ではできない、など不便に感じる部分もあるかと思いますが、ご協力の程よろしくお願いします。
B,少ないコストでの器具は治療のエラーを引き起こしていたことを知らなかった。
C、治療回数、治療期間が増えると痛みを誘発する
次回のコラムへ続く、、、、
講演で私がお話しした内容は、
・マイクロスコープを使った根管治療
・かかりつけ医が向き合う再根管治療も診査診断と治療手技
・マイクロスコープ再根管治療の適応
・各社NITIファイルの特徴
・NITIファイルの使用プロトコール
・動画を使用した症例解説
・精密なマイクロスコープを使った根管治療は保険診療ではできないこと
・自身の医院のホームページに保険でないことと、治療費を明記すること
です。
様々お話ししましたが、非常に盛り上がったセミナーであったと思います。